医療、健康系のGoogleアップデートについての考察と個人的に感じていること。
2017年12月6日、Googleウェブマスター向け公式ブログにて「医療、健康」系のアップデートが行われたことが発表されました。
参考サイトGoogle ウェブマスター向け公式ブログhttps://webmaster-ja.googleblog.com/
これを受けまして、Googleのアフィリエイトサイトへの認識が「間接的」に変わったと受け止めており、今後アフィリエイターがどのような行動を取るべきなのかを考えるいいきっかけになったのではないでしょうか。
この記事は「過去のアップデート」「過去の出来事(ウェルク問題など)」「世論」「Googleサーチクオリティチーム退職者の個人的な意見」「アップデート後の各方面の意見」などから推測しているものに過ぎないものであること予めご了承ください。
目次
推測されるアップデートが行われた背景
アップデートが行われた背景は、医療系、健康系の情報の正当性がウェルク問題以降、問題になっていることだと推測されます。
それ以降も、SEO分野でご活躍される様々な方が医療系、健康系の検索結果に対して問題視する記事をアップされているのを多く見受けられるようになりました。
これらの方々の意見を見る限り、直接的、間接的にアフィリエイトサイトを含む、広告で収益化するメディアに対して批判的な立場でした。
ただ、問題視する記事は至極まっとうな意見であり、アフィリエイターはこれを憎むべきではありません。
これが社会の浄化作用というものだと認識するべきでしょう。
この検索結果に対して一番影響を受ける一般ユーザー(SEO対策とかアフィリエイトとか知らないような人)からの声が聞こえてこなかったのは残念ですが、これらの方々が問題視できないのは当たり前のことであります。
何が正しくて、何が正しくないのかに正解は出ていない
テレビでは「名医が語る◯◯◯」というような健康系番組がよく放送されています。
特に年末年始になると、特番などが組まれ、放映数が多いことから推測すると、視聴率がとれるのでしょう。
僕も昔からテレビっ子なので、そのようなテレビを見ていましたがやっぱり過去と現在では見解が異なることが多いのも事実。
風邪のときはお風呂に入ってしっかりと体を温めて抵抗力を増やし風邪菌をやっつけるのがいいのか
それとも無理することなくお風呂には入らない方がいいのか
医者によって見解が異なるのでいまだにどちらがいいのか理解に苦しみます。
糖質制限をしっかりしてダイエットするべきなのか
日本人は糖質制限をしすぎると糖尿病になってしまうリスクがあるのでやめた方がいいのか
も僕には理解できていません。
上記の意見は全て医者を名乗る方々が言っていたので、なお判断に困っている次第です。
何の資格も持っていないアフィリエイター、ブロガー、一般ユーザーよりも信頼できる情報であることは間違いありませんが、今回はGoogleが「医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報」と言い切ってしまったことに少し戸惑っている次第です。
アフィリエイトサイトの道徳性も問題視されている
ウェルク問題が起こったのち、アフィリエイトサイトを直接問題視する記事もありました。
参考サイト「検索」を汚染するアフィリエイトの闇 広告主をも騙す、ステマの手口https://www.buzzfeed.com/
いわゆるアフィリエイトサイトのランキングは「ステマ」であるという記事です。
この記事はすごく素晴らしい記事で、雑誌やテレビ業界も含めた「メディア」の襟を正してくれる記事でした。
上記の記事ではアフィリエイトサイトというWEBメディアのみの指摘にとどまっていますが、広告代理店業をしている我々のような業者は雑誌やテレビの制作側の方にもご一読頂きたいと思うのではないでしょうか。
例えばこの記事ではランキングが操作されていることが指摘されていますが、よく雑誌でみかける「プチプラランキング」「一度は言ってみたい名店ランキング」や、テレビで見かける「芸能人がお忍びで通う飲食店ランキング」なども1位の掲載枠が◯◯万円、2位の啓作枠が◯◯万円というような形で販売されていることがあります。
もちろん、雑誌やテレビの全てのランキングがそのような枠の販売ではありません。
これはアフィリエイトサイトも同じです。
アフィリエイトサイトもランキング操作されているものもあれば、自分の使用感からランキングを作っているサイトもあります。
つまりこの記事はWEBメディア含む、テレビ、雑誌、ラジオなどのメディア関係者が読む記事なのですが、WEBに特化された記事なので、WEB関連企業であるGoogleは重く認識したに違いありません。
Googleのアフィリエイターへの認識が変わった
Googleはアフィリエイトサイト自体を毛嫌いしていたことはないと認識しています。
これは間違っていないと思います。
しかし今回のアップデートを受けて、感じたことは医療、健康関連の分野においては、「間接的」にアフィリエイトサイトを毛嫌いしたことになり、今後もそのような流れは変わらないかもしれません。
このアップデート以降、考えている以下のような式がGoogleの考えだと認識しています。
「ウェルク問題により「情報の正当性、信頼性」への疑問が表面化※」=「正しいこと」
※以前よりありましたが、それが爆発したイメージ
「正しいこと」=「多くのSEO関係者がこれらの問題に言及しやすい環境」
「SEO関係者の言及」=「情報の正当性、信頼性を求める声」
「情報の正当性、信頼性を求める声」=「直接的、間接的アフィリエイトサイト排除を望む声」
「情報の正当性、信頼性を求める声」=「今回のGoogleアップデート」=「直接的、間接的アフィリエイトサイト排除を望む声」=「アフィリエイトサイトの締め出し」
これはあくまでも個人的に考えていた式なので色んな意見があると思いますが、おおむね間違っていないと弊社では認識しており、「WEBメディアは今後どのような行動を取っていくべきか」を組み立てている次第です。
実際の検索結果を見ているとどのようなアップデートか分かりやすい
弊社のもとに様々な情報が提供されているのですが、一番この状況を分かりやすく説明するのが「葉酸サプリ」というキーワードかもしれません。
一度「葉酸サプリ」と検索してみてください。
1位~10位までほとんどアフィリエイトサイトは見当たりません。
今までなら、比較系、ランキング系、体験レビュー系のアフィリエイトサイトも含まれておりました。
しかし今は、公式サイト、通販サイトのみが上位表示されています。
このような検索結果が今後は増えていくものと推測しています。
ではこのような検索結果はユーザーにどのような影響を与えるのかを推測していきたいと思います。
以下は、あくまでも「葉酸サプリ」を例にとった考えですので、全ての検索キーワード、検索結果に当てはまるものではありません。
この記事はあくまでもアフィリエイターのために執筆しているものなので、分かりやすい事例として「葉酸サプリ」を用います。
情報の正当性なのか、検索意図を重視なのか
ユーザーが「葉酸サプリ」と調べる検索意図は様々だと思います。
例えば「葉酸サプリ 効果」などであれば、葉酸という成分を体に取り込むとどのような働きを知りたいのかという検索意図ですが、「葉酸サプリ」単体の場合、効果を知りたい検索もあれば、どの葉酸サプリがいいのか比較したい、人気があるのは何なのか?口コミがいいのはどれなのか?という検索意図も含まれていると推測されます。
それゆえに12月5日以前は、そのような検索意図を反映する検索結果になっていました。
「ユーザーの検索意図」=「12月5日までの検索結果」≒「情報の正当性はさておき」
という式が成り立ちます。
しかし12月6日以降は公式サイトがほとんど上位表示されるようになりました。
つまり
「情報の正当性、信頼性を求める声」=「今回のGoogleアップデート」=「直接的、間接的アフィリエイトサイト排除を望む声」=「アフィリエイトサイトの締め出し」
この式が当てはめられた検索結果になったと感じております。
この式に加えて、葉酸サプリの検索結果は
「情報の正当性、信頼性を求める声」=「今回のGoogleアップデート」=「直接的、間接的アフィリエイトサイト排除を望む声」=「アフィリエイトサイトの締め出し」=「公式サイトを上位表示」
という式が追加されていると思っております。
これを考えると
「ユーザーの検索意図」=「12月5日までの検索結果」≠「12月6日以降の検索結果」
ではなくなってしまいますので
「12月6日以降の検索結果」≠「ユーザーの検索意図」
となります。
しかしこれは
「12月6日以降の検索結果」=「ダメなアルゴリズム変更」
ではありません。
「12月6日以降の検索結果」=「情報の正当性、信頼性を重視したアルゴリズム変更」=「社会にとっていい変化」
であることを忘れてはいけません。
ただし、これから述べるように
「12月6日以降の検索結果」=「情報の正当性、信頼性を重視したアルゴリズム変更」=「社会にとっていい変化」=「ユーザーが使いやすい検索エンジン」
とは限りませんのでGoogleはこれからも改良を重ねていくものと思います。
ユーザーはよりニッチなキーワードで検索をする
「12月6日以降の検索結果」=「情報の正当性、信頼性を重視したアルゴリズム変更」=「社会にとっていい変化」
ではあるものの
「12月6日以降の検索結果」≠「ユーザーの検索意図」
に直面するユーザーがいるかもしれません。
「葉酸サプリ」で検索したものの、公式サイトしか出てこない、通販サイトしか出てこないという状況になれば
「どの葉酸サプリが人気なの?」「比較した情報はないの?」「使ってみたレビューはないの?」という不満が出てきます。
その際「葉酸サプリ 比較」「葉酸サプリ ランキング」「葉酸サプリ 人気」などのキーワードで検索するユーザーが増えるでしょう。
またこれだけでなく「妊娠初期 葉酸サプリ 人気」「不妊 葉酸サプリ 比較」というような3語の検索も今まで以上に増えてくると思います。
つまりユーザー自身も自分にピッタリの検索語を探す工夫をすることになります。
工夫するのが面倒な場合はSNSへの流入も
検索語を工夫するのが面倒になったユーザーはSNSでの検索が加速するでしょう。
今でさえ、Googleを使わず、Twitterやインスタで検索するユーザーが増えている状態なので、このアップデート以降、その流れは加速するものと推測されます。
特にインスタなどはオシャレな画像付きで、モデルさんなどが「この葉酸サプリ使っているけどとってもいい感じ」などと投稿しています。
インスタ内を見ているとこれらのキーワードはインフルエンサーへの広告打診による投稿が多いですが、きっと12月6日以前までも検索結果に疑問を感じていなかったユーザーは
これらの宣伝投稿をみても違和感なく、受け入れることでしょう。
その後、実際の商品を購入する際は、商品名で楽天、Amazon、Google検索し、購入に至るのでしょう。
残念ながら医師が各商品を実際に使ってみた感想などをレビュー記事で紹介することはなく、そのレビュー記事の情報性の正当性はさておき、今まで以上にレビュー記事を読む機会は減るのと、それらのレビュー記事を探すのも少し難しくなるかもしれません。
【補足】広告主のメリットデメリット
これらのことを考えると広告主側にとってはメリットデメリットがはっきりしそうです。
Google使いにくい⇒インスタ見よう⇒この商品いいんだ⇒商品名でググる⇒公式サイトから購入
の構図を考えた時に
Google検索する⇒比較記事、ランキング記事を読む⇒アフィリ経由で公式サイトへ
Google検索する⇒比較記事、ランキング記事を読む⇒商標レビュー記事を見る⇒アフィリ経由で公式サイトへ
と比べて、CPAは下がると思います。
ただレビュー記事や比較記事を挟んでいないため、そのレビュー記事や比較記事の情報の正当性は置いておいても、納得して購入する頻度が少なくなれば、LTVは低くなるかもしれません。
テレビ離れからのYouTubeと類似
このようなユーザーの行動はテレビ離れが進み、YouTubeやその他SNSへユーザーが移行した状況に似ているかもしれません。
テレビ業界でもごく一部のモンスタークレーマーのクレームにより、かなりの規制を強いられるようになり、尖ったコンテンツを制作することができなくなりました。
もちろん、今回の医療、健康系の検索結果に対して問題視したSEO分野の方々をクレーマーと同列に並べているわけではありません。
またそのような規制の中、高視聴率をたたき出す番組もたくさんあるので、このあたりの姿勢はアフィリエイターも見習うべきでしょう。
ただ尖ったコンテンツを作れなくなり、テレビがおもしろくなくなり、YouTubeなどへ移行したのと同じように
情報の正当性はさておき、各個人の見解等が排除されたり、専門家ではない人が分かりやすく解説した記事がなくなり、難しい言葉で説明された記事が上位表示されようとしている今、Googleを利用したいと思うユーザー層は医療、健康系のジャンルに限り、がらりと変わってくるかもしれません。
Google自身もそのような危険性を感じているため、公式ブログで次のような見解を合わせて発表したのかもしれません。
もし、あなたが医療関係者で、一般のユーザーに向けたウェブでの情報発信に携わる機会がありましたら、コンテンツを作る際に、ぜひ、このような一般ユーザーの検索クエリや訪問も考慮に入れてください。ページ内に専門用語が多用されていたら、一般ユーザーが検索でページを見つけることは難しくなるでしょう。内容も分かりづらいかもしれません。
基本的にはアップデートは大歓迎
このアップデートによりユーザー自身が減るわけではないので、嘆くことはありません。
ただしアフィリエイトサイト経由での購入は減ってしまう可能性はあります。
しかし、以下のような式を考えることができるため、より優秀な人はユーザーへの貢献を高めながら、収益を伸ばしていくチャンスだと思っています。
ユーザーにとって・・・
今回のアップデートで安易に上位表示できなくなった=何となくメディア運営しているアフィリエイターの排除=アフィリエイトの参入障壁が上がる=情報の正当性も守れて面白いコンテンツをつくる優秀なアフィリエイターのみが生き残る=素晴らしいコンテンツが増える
アフィリエイターの収益にとって・・・
何となくメディア運営しているアフィリエイターの排除=アフィリエイトの参入障壁が上がる=優秀なアフィリエイターのみが生き残る≠
【過去】アフィリエイト経由の購入100万円を100人で分散=1人あたり1万円の収益
何となくメディア運営しているアフィリエイターの排除=アフィリエイトの参入障壁が上がる=優秀なアフィリエイターのみが生き残る=
【今後】アフィリエイト経由の購入40万円を20人で分散=1にあたり2万円の収益
=過去よりも収益があがる
このように考えることができるので、優秀なコンテンツ制作者にとって歓迎すべきアップデートになるでしょう。
いずれにしてもよい変化であることに変わりはない
いずれにしても、今回のアップデートはよいものであることに変わりはありません。
なぜなら間違った情報がユーザーに届きずらくなったからです。
個人的には、最近のアフィリサイトはまっとうに商品を比較したり、徹底的に知らべてレビュー記事を書いたりしていたので、率先してそのようなサイトを見て、比較していました。
比較的リテラシーの高い私でも、あえてアフィリエイトサイトを見て、比較検討をしていました。
具体的には、最近、姿勢矯正ベルトを買おうと思って、アフィリエイトサイトを見て比較をして購入したことです。猫背なので。笑
この時もし「姿勢矯正ベルト」で検索して、公式サイトや楽天、Amazonしか出てこなかったら、すごく不便に感じていたかもしれません。
僕は健康オタクなので、色んなサプリを購入するのですが、これからは、2ページ目、3ページ目まで行って、いいランキングや比較記事、レビュー記事を長々と検索することになってしまいそうです。
今回のアップデートに関してはSEO業界、アフィリエイト業界人としては賛成ですが、一般ユーザーとして自分を考えた時、ちょっと情報検索が面倒くさくなると思っています。
一般ユーザーとしての僕のこれからの行動
以下、僕はこれから以下のような情報収集方法を取ることになりそうです。
これは「僕」がするだろう行動です。
他の一般ユーザーが同じ行動をとるとは限りません。
これは「僕」がするだろう行動です。
悩み解決関連の記事について
医療機関、医者がやっているブログやサイトの内容は理解しづらく、ある程度読むものの、理解できない専門用語が多々ありました。
それを補うために上位表示され分かりやすく説明してくれるコンテンツメディアを見ていました。
コンテンツメディア自体も医療機関や医者などが運営している記事を分かりやすく解説しているものはほとんどだったので、あまり情報の正当性を疑問視することはありませんでした。
もちろん情報の正当性を疑問に感じることもありましたが、あまりありませんでした。
今回のアップデートにより、分かりやすく解説されたメディアが上位表示されなくなったので、とりあえず1ページ目で完結していた情報収集は2ページ目、3ページ目まで調べることになりそうです。
ランキング系、比較系を見たい時
ランキングサイト、比較系のサイトが確かに上位表示から下部に行ってしまっているので、それらのサイトをまずは見つけないといけなくなりました。
これらのサイトは今現状は2ページ目にあることが多い印象なので、まずは2ページ目まで行く必要がありそうです。
僕個人としては公式サイトで発信されている販売元の情報よりも、使ったレビュー、使用感、口コミ、他の商品と比較してどうなのかという情報の方が欲しいからです。
確かにその情報の正当性を問われる部分は多分にありましたが、これらのランキングサイト、比較サイトが多く上位表示されていたので、これらのサイト同士を比較し信頼できるサイトの情報を探すのは簡単でした。
しかし今後は、ランキングサイト、比較サイトを見つけることからはじめないといけないので、時間がかかりそうです。
商品固有のレビューや口コミを見たい時
商品名で検索した際、Amazon、楽天、公式サイト、その企業のTwitterアカウントが出てきている商品が多くありました。
この場合、僕は企業が発信している情報よりも、一般ブロガー、アフィリエイター、なんでもいいので、各個人のレビューを見たいというタイプです。
それらの意見に情報の正当性は問題視しません。
これは各個人の感想だからです。
またアフィリエイターが買わそうといいことを言っているのも問題視はしません。
とにかくたくさんのレビューを見て、比較できるので、納得した上で、購入できていました。
しかしこれらのレビューが上位表示されなくなったことを考えると、まずはレビュー記事を探すこと自体に時間をかける必要がありそうです。
最後に・・・
業務上で考えた時、このアップデートはいいことだと思っています。
弊社が運営しているメディアもこのアップデートでいい影響を受けており、今後も適当なアフィリエイターが排除されてくれるでしょう。
しかし、色んな立場を無視して、いちユーザーとして考えた時、「情報収集めんどくせ!!」というのが本音でございます。
ただこれは始まったばかりです。
きっとユーザーファーストのGoogleはどんどん検索エンジンを改善し、よりユーザーのためになる検索結果を実現してくれると思います。