Webのあれこれ(注意してほしいこと)  2019.3.4

悪ふざけ不適切投稿(動画)についてWEBの観点から色々と考察しました。

最近、不適切投稿(動画)のニュースが毎日のように出ています。

様々な報道を見ていると「こんなことはしてはいけない」という流れから始まり
「こういう場合の損害賠償はどうなる」という法律的な観点からの説明が多いように思います。

よって、今回は「WEB」の観点から不適切投稿について説明していきたいと思います。

また弊社の顧問弁護士である堀総合弁護士事務所の堀先生にも取材、監修していただきました。

読みやすくするために専門用語の数を減らし、使用する場合は解説や具体例を用いて説明をしていきたいと思います。

またこの記事をお読みいただき、インターネットのすごさや怖さ、良い側面や悪い側面をしっかりとご理解いただき、インターネットを利用される全ての人が楽しく利用できるようになれば嬉しく思います。

悪ふざけした人は「拡散したい」と思っていない

ニュースなどを見ていると「動画を投稿した人が外を歩けなくなった。」というような報道がありました。

「あれ?でも話題になりたい!みんなに笑ってもらいたい!と思って投稿し、炎上しているんじゃないの?」

と思うかもしれません。

様々なネットニュースを見ていても「バカッターが投稿した不適切動画が・・・」というように言及をされ

あたかも不適切投稿をした人が

「有名になりたい!」
「話題になりたい!」
「目立ちたい!」

と思って投稿したという誤解を感じることができます。

しかしこれは全てではないですが、間違っている部分もあります。

どちらかと言えば投稿者は「身内やフォロワーだけに見せて、バカだなぁとツッコまれたい」程度でしか考えておらず、投稿する手法もインスタグラムのストーリーという機能を使ったものやフォロワー数が極端に少ないプラベートで利用しているTwitterアカウントなどが多いです。ストーリーは24時間以内で消える投稿なので、拡散するはずはないと思っているのです。

よって、投稿者からすれば

「なぜ拡散してしまったのか」
「なぜバレたのか」

が理解できず、話題になった本人も驚いている状況です。

もちろん、これらの行為をすること自体、道徳に反していたり、衛生的に望ましくないことだったり、法律に違反するものだったりするので、「悪いことは悪い」です。

※不適切動画の中には拡散させようとしたものもありますので、全てではありません。

「炎上狙いのYouTuber」と「不適切投稿をする人」は異なる

同じように炎上している動画と言えば、YouTuberが悪ふざけをして投稿しているような動画です。

これは先ほど説明したのとは違い

「目立って登録者を増やしたい」
「炎上して話題になりたい」
「そして視聴回数を伸ばしたい」

という意図的なものになります。

YouTuberの年収が話題になっていますが、彼らの収益源は「広告収入」です。

一般的なニュースを見ていると「動画を見る前に流れる広告を見せれば0.1円入ってくる」というような報道が多いです。

それよりも企業とタイアップした動画を撮影し「視聴数×3円」というようなタイアップ広告の方が収益源としては大きいです。
(3円の部分はYouTuber、広告代理店、事務所により様々です。)

仮に10万回再生であれば30万円の収益になりますし、本当に有名なYouTuberであれば300万回、800万回のような動画もあり、その動画だけで900万円、2400万円となるわけです。

この金額にはもちろん広告代理店や事務所に配分される分も含まれますので全額が収入になるわけではないです。
(YouTuberや広告代理店、事務所により異なる)

このような仕組みで収益を上げているYouTuberは意図的に炎上目的の動画を投稿して話題になろうとしている傾向があります。

ただし、炎上してしまうと企業のタイアップなどの依頼が入りづらくなるので、多くのYouTuberは自分の得意分野、持ち前、キャラ、資格、能力を活かすような、ちゃんとしたチャンネルを作っていることが多いです。

炎上させたいグループが日々監視している。

話を戻しますが、なぜ不適切投稿は、投稿者が拡散したいと思っていないのに、拡散してしまっているのでしょうか。

それは「炎上させたい人」が日々、アップされる動画やストーリー、つぶやきなどの投稿をチェックして、拡散させようとしているからです。

特に、今では自分が拡散させれば、ニュースなどに取り上げられやすいので、過去の投稿も含めて、必死になって不適切な投稿を探し回っていると思います。

そもそもは「こういうことしちゃダメだよね!」という感情から、偶然見つけたものを「拡散希望!」みたいな感じで、世の中に知ってもらい、ダメなことを止めさせよう!というものだったと思います。

ただ、最近は、話題になる不適切投稿は過去に投稿されたものが多く、どちらかと言えば

自分も話題になりたい!
自分もヒーローになりたい!

という感情から、むりやり他人の過去の投稿を拡散させているような傾向を感じます。

重要
よって、昨今のニュースを見て、自分の投稿を思い返して、気になる投稿、他人を傷つけている投稿、今回のような悪ふざけ投稿などがあれば、フォロワー数が少なくても、アカウントに鍵をかけていたとしても、削除することをオススメ致します。

インスタとかTwitterって個人情報なしで始めれるのに、なぜ特定されるの?

「自分もヒーローになりたい!」という感情は、動画を拡散するだけにとどまりません。

ネット上で「特定班」と言われるような人が、「悪いことをした人の個人情報を公開しよう!」と思い、投稿者の個人情報を収集し公開しているのです。

公開された情報は単にネット上からかき集めたものや、投稿からの推測に過ぎないようなものもあったり、間違った情報が出ている場合もあり、間違って拡散された方は非常に精神的ダメージが大きいと思われます。

そこで疑問に思うのが「なぜ個人情報を入力しなくてもいいSNSで個人情報が特定されてしまうの?」ということです。

実はこれは簡単です。

そもそも炎上目的で不適切な投稿をしている場合は「身バレ」しないように、手がかりになるような投稿をしません。

しかし、今回話題になっている不適切投稿は「身内だけに笑ってもらいたい」と思って投稿しているものなので、日々の投稿では「どこの高校なのか」「どのあたりに住んでいるのか」を推測できるものも多いのです。

またコメントや投稿文章から「名前」が特定できるような書き込みも多く、容易に個人を特定することができるのです。

ニュースやネットでは「特定班はすごい」というような報道や書き込みがありますが、そもそもこのような経緯があるので、ちょっとでもネットリテラシーがあれば、特定することは簡単です。

ネットはリアルより「特定」しやすい

ただし、普段の投稿で特定されないようにしていても
ネットはリアルより個人を特定しやすいので注意が必要です。

Twitterの裏アカウントで投稿している場合
インスタで手がかりになるような投稿していない場合
登録の際に本名を偽ったり、フリーメールを利用して登録して投稿している場合

でも正当な手続きを踏めば、すべてわかります。

リアルの世界では全然知らない人に対して名前も名乗らず
「お前はバカだ!」と行って逃げれば、ほぼ個人の特定は不可能です。

しかしネットの世界で「お前はバカだ!」と書きこむことは
「私はABC高校の山田太郎です。お前はバカだ!」と言っているのと同じです。

なぜかと言うと、全ての書き込みや投稿はサービス企業によって異なりますが、書き込まれた情報というのはきちんと保管されているからです。

どのようなサービスを利用し投稿しても、
どんなパソコンを使っているのか、スマホを使っているのか、公共のWiF使っているのか、場所はここだな、IPはどうなっているのか等の情報は全てわかっているので、結局は特定されてしまいます。

むしろこの仕組みがないと、テロを未然に防いだり、犯罪者を特定したりできません。

「テロ」などと言うと大がかりなことかもしれませんが、不適切な投稿をし、その投稿で損害を受けた企業や個人が法律的に正当な手続きを踏めば「裏アカウント」でも個人の特定はできます。

なお、これらの手続きを踏めるのは、投稿によって不利益を被った企業や人などの被害者だけであり、「特定班」のようなまったく関係のない第三者は調べることはできません。

「特定」した人は違法になるのか

特定する行為自体は、法律的に正当な手続を踏んで行う限りは、違法にはなりません。

しかし、特定した情報は、個人の名前や住所などが含まれる場合もありますので、この情報をむやみやたらと拡散したりすることは、違法なプライバシー権の侵害となる可能性もあり、この場合、反対にその発信者から損害賠償請求をされたりする可能性もあります。

重要
また、「特定」した情報を問題となっている不適切な投稿と共に拡散する場合には、元の投稿者による権利侵害行為(プライバシー権侵害、名誉棄損など)を助長したと評価されて権利侵害を行った人と同様の責任を負わされる可能性がありますし、拡散の程度や方法によっては「特定者」自身が権利侵害行為を行っていると判断される可能性もあります。

このように、発信者の情報を特定した上で晒す行為は、危険も伴うということを理解しておいてください。

発信者の情報を特定する場合には、損害賠償請求や刑事告訴など、あくまでも正当な権利行使のためにするのが良いでしょう。

晒し出された個人情報をインターネット上で削除することは可能なのか

晒された個人情報をインターネット上から削除することは可能です。

個人情報はプライバシー権や名誉権に含まれる情報ですので、個人情報が晒されている状態は、これらの権利が侵害されているといえるのが通常です。このようにプライバシー権や名誉権などの権利が違法に侵害されている場合には、削除請求をすることが可能となります。

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特に個人情報が開示されている場合は、開示されているブログのサーバー、開示されているサービス(例えばTwitterなど)会社に正当な法的な手続きを踏んで行えば、削除されます。

また、このような業務に精通している弁護士に依頼すれば、ブログの執筆者などに直接的に削除を要求するだけで削除されるケースも少なくありません。

Googleの検索結果からの削除について

また、個人情報は基本的にプライバシー権に属する事柄ですので、Googleの検索結果からも削除しやすい情報になります。

Googleが削除を認めてくれると、同じ仕組みの検索エンジンを利用しているYahooでの検索結果からも削除されますので、「GoogleやYahooで検索すると個人情報が知れてしまうキーワード」などで調べても検索結果で出て来ないようにすることもできます。

日本の検索エンジンはGoogleとYahooを合せて、ほぼ100%に近い割合の利用率なので、Googleの検索結果から削除することができれば、大半の人は検索で情報収集できなくなります。

弊社でも事実とは異なる弊社を批判するような悪質な書き込み等が様々な箇所で見受けられましたが、正当に手続きを踏めば、削除することができました。

また削除するだけではなく、相手方に対して、刑事告訴や民事の損害賠償請求で対処したい場合などは、あえて書き込みを残し、「明らかに違法」と言える状態になるまで黙認しておいて、その後に警察に捜査してもらったり、民事で損害賠償請求の裁判を起こしたりするなど、「いわゆる勝てる」状態を意図的に作り上げるという手法も一つの有効な手段です。

この辺りは、きちんと弁護士と相談しながら進めていくのがベターです。

まとめ

このようにインターネットでは

匿名で不適切投稿をすることも
匿名で不適切投稿をした人の個人情報を投稿することも
匿名で相手を傷つけることや名誉を棄損する行為

は、全て特定されてしまう状況です。

ですので御自身のインターネット上の活動にも気を付けるべきですし、お子様がいらっしゃる親御様においては、その点をしっかりとお子様にお伝えされるべきだと思っております。
また、社員を抱えている経営者の方々も、社員自身が責任を負わないといけなくなるかもしれないことをきちんと教育しておく必要があります。

改めてになりますが、この記事がたくさんの人に読まれ、インターネット利用者さんが気分を害することなく、楽しく使えるようになれば嬉しく思います。